2023 Final Quarter 振り返り

さて、いよいよ遅いですが2023年10月〜12月、Final Quarterの振り返りを書きたいと思います。

2023年10月~12月で何をしていたか

Final Quarterではベイズ統計学の学習にのみ専念しました。

使用した教科書は前回の振り返りでも紹介した『標準 ベイズ統計学』です!

目次は以下の通りです:

1.導入と例
  1.1 導入
  1.2 なぜベイズか
  1.3 本書の構成
  1.4 補足と文献案内
2.信念,確率,交換可能性
  2.1 信念関数と確率
  2.2 事象,分割,ベイズルール
  2.3 独立性
  2.4 確率変数
  2.5 同時分布
  2.6 独立な確率変数
  2.7 交換可能性
  2.8 デ・フィネッティの定理
  2.9 補足と文献案内
3.二項モデルとポアソンモデル
  3.1 二項モデル
  3.2 ポアソンモデル
  3.3 指数型分布族と共役事前分布
  3.4 補足と文献案内
4.モンテカルロ近似
  4.1 モンテカルロ法
  4.2 任意の関数に対する事後推測
  4.3 予測分布からのサンプリング
  4.4 事後予測分布によるモデルのチェック
  4.5 補足と文献案内
5.正規モデル
  5.1 正規モデル
  5.2 分散所与の下での平均に関する推測
  5.3 平均と分散の同時推定
  5.4 バイアス,分散,平均二乗誤差
  5.5 期待値に基づく事前分布の特定
  5.6 非正規なデータに対する正規モデル
  5.7 補足と文献案内
6.ギブスサンプラーによる事後分布の近似
  6.1 準共役な事前分布
  6.2 離散近似
  6.3 条件付き分布からのサンプリング
  6.4 ギブスサンプリング
  6.5 ギブスサンプラーの一般的な性質
  6.6 MCMCの収束診断法
  6.7 補足と文献案内
7.多変量正規モデル
  7.1 多変量正規分布の密度関数
  7.2 平均に関する準共役事前分布
  7.3 逆ウィシャート分布
  7.4 平均ベクトルと共分散行列のギブスサンプリング
  7.5 欠測データと代入法
  7.6 補足と文献案内
8.グループ比較と階層モデリング
  8.1 二つのグループを比較する
  8.2 複数のグループを比較する
  8.3 階層正規モデル
  8.4 例:米国公立学校における数学試験
  8.5 平均と分散の階層モデリング
  8.6 補足と文献案内
9.線形回帰
  9.1 線形回帰モデル
  9.2 回帰モデルにおけるベイズ推定
  9.3 モデル選択
  9.4 補足と文献案内
10.非共役事前分布とメトロポリス・ヘイスティングスアルゴリズム
  10.1 一般化線形モデル
  10.2 メトロポリスアルゴリズム
  10.3 ポアソン回帰に対するメトロポリスアルゴリズム
  10.4 メトロポリス,メトロポリス・ヘイスティングス,ギブス
  10.5 メトロポリスとギブスの組み合わせ
  10.6 補足と文献案内
11.線形・一般化線形混合効果モデル
  11.1 階層回帰モデル
  11.2 完全条件付き分布
  11.3 数学試験データの事後解析
  11.4 一般化線形混合効果モデル
  11.5 補足と文献案内
12.順序データに対する潜在変数法
  12.1 順序プロビット回帰と順位尤度
  12.2 正規コピュラモデル
  12.3 補足と文献案内

学習の内容、というよりかは書評

このQuarterではch.5 ~ ch.9まで読みました。とはいってもその後続けて読んだので、現時点で読了しています。

読了後の感想としては、まず素晴らしいベイズ統計学の教科書であり大変感銘を受けました!

  • 理論と実践のバランスの良さ:
    • 各章の多くで具体的な統計の事例 (社会学的なもの、生物的学もの) などを取り上げており、その後取り上げられる理論について具体的な動機 (これができると何が嬉しい?) を持ちながら取り組むことができるので大変知的好奇心を刺激されました。
  • 教科書全体を通した明確なストーリー構成
    • この教科書では以前の章で学習したものをさらに拡張・発展していくのような話の展開が多く、ストーリーのようなものを感じました。例えば階層モデルをch.8で導入するのですが、これの拡張として正規階層回帰モデルがch.11で扱われています。
  • 手を動かしながらも適度な行間の構成、計算力
    • 個人の好みかもしれませんが、分布のパラメータの計算過程などが無理のない適切な行間であり、自分で読みながら計算を追いかけることができたので実践の楽しみがあり面白かったです。
  • コンピュータでの計算の応用への充実

ただ他の方に推薦するときは以下に注意したいと思います:

  • 数学的厳密性
    • 先にも述べましたが数学専攻で扱うような数学的厳密性は担保されていません。
  • 統計学の前提知識
    • 入門程度の統計学は読者の知識に仮定されていると思います。少なくとも微積分は当たり前に使います。

今後の方向性

候補としては取り敢えず統計学の勉強を更に深めるために

他にも大学院時代に (一応) やっていたトロピカル幾何の書籍が年末に出たので

などを考えています。 あと少しは手を動かして実装するような活動もしたいですね!